阿部サダヲ主演映画『アイ・アムまきもと』の感想です。
サダヲ優秀主演男優賞おめでとー!
個人的には『死に至る病』より『アイ・アムまきもと』のほうが断然好きです。サダヲ演じる牧本のキャラもとてもカワイイかった。
【『アイ・アムまきもと』】キャスト・監督
【監督】
水田伸生
舞妓Haaaan!!!の監督だったのね。めちゃくちゃ映像キレイだった。
【キャスト】
牧本壮 阿部サダヲ
津森塔子 満島ひかり
今江みはる 宮沢りえ
槍田幹二 國村隼
蕪木孝一郎 宇崎竜童
神代亨 松下洸平
【簡単なあらすじ】
空気が読めず、人の話を聞かず、なかなか心を開かない変人・牧本。周りに馴染まず孤独な彼が働くのは一人で死に至った人を見送る「おみおくり」係。牧本は自費で孤独死した人の葬儀を上げていた。しかしその「おみおくり」係は上司が変わったことで廃止されることになってしまう。最後におみおくりすることとなったのは蕪木孝一郎。彼のお葬式の参列者を見つけるために孤軍奮闘するのだが…。
【漫画】『アイ・アムまきもと』感想漫画


『アイ・アムまきもと』とりとめない感想文
映画終わりの帰りの地下鉄で、赤ちゃんを抱っこする牧本が蘇って涙が出た。あのシーンが物語にどのくらい重要なのか分からない。けれども涙が出た。
この映画を最初は孤独死の物語だと思っていた。自分もこのままいけば孤独死まっしぐらなんだよな。甥も姪はいるが、この先大きくなって近くにいるとも限らない。
けどこの物語は孤独死の物語だけではなかった。
死と向き合えば生があって、生を感じればそこには命があった。
死と生の物語というより、命そのものの物語だった。
牧本の存在はファンタジー。公務員が自費で他人のお葬式を上げるなんてまずあり得ないだろう。HEROの久利生みたいな感じ。
ファンタジーなんだけど牧本の孤独っぷりはリアルだ。
牧本はご飯を作ってをそのまま台所で立ち食いする。ただ食物を身体に供給するように。そこに美味しさとか楽しみとかのかけらもなかった。
人付き合いはなくて家には金魚がいるだけ。服も同じスーツだけ。孤独死した人の痕跡をひたすらノートに纏める。
そんな牧本がたまたたま赤ちゃんを抱っこして、その存在にほわほわとする。夜にいつものように同じスーツばかりが掛かってる中から、赤ちゃんのヨダレが付いてるのを見つけてその子の匂いを思い返す。自分が抱っこした命を思い返してほわっとした表情になる。命を感じている。
牧本は蕪木の死を通して、その娘・塔子と出会う。塔子に淹れてもらった紅茶を飲んだ後から、自分で紅茶入れてみたりする。机に座って飲んだりもしていた。
蕪木のお葬式参列者を探すことでちょっとずつ新しい世界を知っていく牧本。
でも相変わらず察しは悪い。根っこの部分は変わらない。
牧本は確かに察しが悪いけど、分からないことは分からないという。そのくらい分かるだろって会話の「アレ」な感じも分からない。察しは悪いけど分からないって言うのは、誤魔化さずちゃんと人の事を分かりたかったからじゃないのか。
塔子に対してはほんの少し恋というか好意というか牧本にも塔子にもあったように思う。いや私があってほしいと願ったからそういう風に見えたのかもしれない。
牧本、紅茶は美味しかっただろうか。
赤ちゃん抱っこしたとき命に感動したのかなぁ。
点にしか見えなかった白鳥が、好意を知って羽ばたいて見えるようになったんだなぁ。
見終わってもそんな生きている牧本の日常の端々に想いを馳せた。
映像もとても美しいので見て損はないです。サダヲは終始カワイイ。
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